S君の話

S君の話

『 星椎水星先生、アトランティス協会の皆様
今日はご先祖様以外の魂について相談がございます。
家族では無いけれど、同じように気になる魂…
私は保育園に年長組で入園し、一年間過ごした中で小児ガンにより、同級生を1人失いました。S君。一緒に過ごした時間は短いです…秋に亡くなりましたので半年の付き合いだったのかと思います。
実はS君は亡くなる数日前に会いに来てくれました。その時の状況が何十年経っても思い出せますし、その後の過ごして来た時間の中で、思い出すきっかけが必ず訪れますし、声も思い出せます。
なにぶん訴えというか、サインが強いと思われまして…
違うとしても、成仏していないことは確か。
小学校に入学してから今まで、S君を思い出すきっかけが何度も有りました。
漫画を読んでいるとき、歌を聴いている時、空を見た時、雨の日、S君の話を聞いてくれた同級生から連絡が有ったり、とずうっと続いているのです。
命日や、名前に漢字が有ったかどうかもわかりませんが、叔父が亡くなる少し前ということは覚えております。とても優しい子でした。
当時、S君は風邪で保育園を休んでいました。
何日経っても来ないので長い風邪だと思っていました。
ある日、家族が私を保育園バスの待ち合わせ場所に迎えにくる時間が遅くなることになり、しばらく保育園で1人待つことになりました。おもちゃで遊んでいましたが退屈で、お遊戯室(体育館)のトランポリンで遊ぼうと思いました。
廊下を歩いていると、急に激しい雨が降り、開け放しの玄関から外は白く見えました。
お遊戯室に入ると、いつもにぎやかで、男子と女子がトランポリンの取り合いをして大騒ぎしているイメージとは違って薄暗く静まり返り、ちょっとした音が響くとこわくて、遊ぶのをやめました。
再び廊下を歩き、玄関に下りて外を見ました。
玄関の正面に大雨で白んで見える景色の中に登り棒、その奥にブランコが見えます。
玄関の右側に滑り台、どれも大好きな遊具ですが遊べない…。
その時、ふと東にある門に目をやると、傘をさした人がこちらにやってくるのが見えました。
近くなると、長靴と半ズボンが見え、それはなんとS君でした。
びっくりしていると『うちに行ったらだれも居なかった』と言うのです。
そして『あっちむいてホイして遊ぼう』と。私は遊び相手が出来て嬉しく、風邪が治ったのかどうかも聞かず、玄関のすのこに立ってあっち向いてホイをして遊びました。
私はてっきり園の中で遊ぶのだと思ったのですが、すのこに上がったのに、S君は中に入る素振りを見せなかったので、そのまま遊ぶ事になったのです。
S君は園の中で一番背が高く、すのこに乗ってもその差は歴然です。
S君を見上げながら飽きもせず延々とあっちむいてホイで遊んでいました。
どのくらいの時間だったのでしょうか。
園の奥から『保育園バスが出るよー!』と、年中組の先生の声がしました。
そこでS君と『バイバイ』して、S君は先に園を出て行きました。
バスが出発すると、先に出たS君が傘をさしながら振り返りました。
私は『バイバーイ』と声を出して手を振りました。
S君は手を振り返してくれたのですが、違和感が有りました。
それは私の前に座っている年中組の先生が無反応だったことです。
でも、違う組の先生だからと思い直し、振り返り見えなくなるまでS君に手を振りました。
次の日、S君は保育園に来ませんでした。
私は雨の日に半ズボンで来たから、また風邪をひいたのだと思いました。皆、S君に久しく会っていないから、昨日の事が特別な気がして、すぐそばにいた男の子に「昨日、S君と遊んだよ」と言いました…が…
言葉を発すると同時に耳がおかしくなり、相手に聴こえていないようでした。
例えると、水の中で話しているようでした。
なんとなく言ってはいけないことのように思い、もう話しませんでした。
そして数日後、保育園に行くと、先生がみんなの前で泣き崩れました。
いつも、お昼寝のとき物語を読んでくれる椅子にうつぶせになり先生は泣き続けました。
S君はもう保育園に来ないんだと思いました。
葬儀には、年少から一緒に過ごした、数名の代表者だけが参列しており、私は亡くなった姿を見ておりません。
私は後日、言ってはいけないと思ったS君と遊んだ話を母に聞いてもらいました。
すると、「もう家に戻ることも出来なかったはずだよ」と母は言いました。
私は、歳を重ねていく度にああではないか、こうではないかと解釈してきましたが、うちに誰もいなかったと言ったS君… 家族は皆病院にいたのではないだろうか。
亡くなる前にうちに帰りたくて、保育園に行きたくて、私がたまたま居残り保育していたから会えたんじゃないだろうか。そんな風に思います。
ご先祖様より先にS君を助けていただくことはいけないでしょうか…
どうかご指導お願いいたします。 』



星椎水精先生のコメント

縁というのは、身内より遥かに深い場合がある。これもその一例だろう。
深く大きな縁が、二人を結び付けている。借りを貸したり返したり。そんなシーソーゲームが、この二人の仲を結び付けている。今回は、助ける番となっている。しかし、晩年はS君が助けに来るに違いない。