3日目

早朝からダイビングの日程だった。ホテルのロビーでダイビングショップの人が来る予定だった。フロントに現れたのは、背の高いフランスの男性だった。彼は、書類もろくに見ようともせず、私を車に乗せた。
明るい女性が運転席で運転を始め、猛スピードで海岸へ向かった。途中「英語はしゃべれるのか」とか「日本語はどうか」とかを聞いてみたが、フランス語しか話せないようだった。フランス語のなめらかな言葉に酔いしれながら海岸にたどり着いた。しかし、そこは違う会社だとお互いが分かると、女性はカーチェイス並みの運転でホテルに向かった。
急ブレーキでぶつかりそうになった時、”Good drive !” と私が言った言葉で、フランス人は笑い、和やかなムードになった。私もこのフランス人がとても好きになり、ホテルに着いて別れ際に、男性が私の顔をずっと見ていた。
その一瞬で、私は過去に帰った。イギリスにいた頃の過去世で、私は彼らと会っていた。その頃も彼らはフランス人で私と仲が良かった。広い南フランスの庭先で食事をしながら談笑している。画家のルノアールが描いた庭先で語り合った風景によく似ている。
ほんの30分くらいの車の中の出来事で、過去を鮮やかに思い出せて、ニューカレドニアに来た甲斐があった。

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