頭の光

下関のゴルフ練習場で、私の横で練習していた60歳くらいの男性は、頭を剃って光らせていた。その神々しいくらいの光り方を見て、中年のコーチが近づき、
「頭がきれいですね、職業はお坊さんか何かですか」と問うた。
「皆からそう言われるんですよ。この間、住職が私を見て、どの宗派ですかと聞きましたよ」
「違うんですか」とコーチが聞くと
「いや、退職して時間があるから、(頭の)手入れを怠っていないだけですよ」と笑いながら答えていた。
コーチが居なくなると、ドライバーに力を込めて振り出した。すると、球が右や左に飛び始め、その度に「クソ」と怒鳴っていた。独り言が習慣になっており、家での不満が爆発した感じで、おおよそ住職などとは程遠い性格だった。
それどころか下関と言う土地自体、源平の合戦があった場所だから、平和そうに見える家庭でも、家の中は先祖たちが結構暴れている。この家も彼の頭の光と同じように神々しいものではなく、先祖の大暴れをドライバーを振ることによって、自分の気持ちを抑えるのが精一杯であった。

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