少女

ゴルフの月例会で15歳の少女と一緒に回った。親が厳しく躾ているため、とても素直で可愛い少女だった。飛距離は270ヤードくらいで男顔負けのハンディ8のシングルでもあった。 しかし、その日はピンの位置が極めて難しく、思ったスコアが出なかった。試合前から父親に怒鳴られ、ハーフ終了時も大声で怒鳴られていた。泣きべそをかいていたので、私が「高校はどこへ行くの?」と聞くと、 「学校へ行ってはいけない、って言われました」 「なぜ」 「ゴルフは父が教えるから、どこへも行くな、って言われたんです」 「じゃ、将来はプロになるの」と聞くと 「ええ」 「私が知ってる女子プロは、ゴルフだけでは食べては行けないって言ってたよ」 それから黙ってうつむいてしまった。後半を一緒に回って気が付いたのは、ショットに安定性はなく、難しいラフやバンカーでは、私の方が勝っていた。高校も行かないで、プロゴルファになれなかったらどうするつもりだろう。その父親は、椎間板ヘルニアで医者からゴルフをストップさせられていた。 その顔には、働き盛りにしては少々老けていて、先祖の霊がびっしりと付いていた。父親も自分が果たせなかった夢を子供に託しているのだろうが、その子供は、ゴルフの練習は好きではなく、どちらかというと勉強の方が好きだという。 ゴルフは、一人前になるためには、数千万円かかる。10歳から始めて5年が過ぎた。この先、父親の収入が途絶えた時、父も子も路頭に迷うことになる。先祖たちも自分たちを無視していることに怒りを露わにしている。何とも将来の暗い親子だった。可愛い少女にも以前一緒に回った時より、そのあどけない顔に翳りを見せ始めていた。