五島の旅④ 2日目 後半  

福江港では、上五島へ行く高速船に乗るために3時間ほど待つことになった。見晴らしの良い2階のラウンジでパソコンに取り込んでいた映画を見ている内に、ウトウト眠くなった。目を覚ますと、ピンク色のワンピースの若い女性が、3つ連結の椅子の一つに腰掛けていた。その女性は、20歳前後で、ヘラヘラと少し笑っているのやら私に何かを話しかけているのやら分かりづらかった。
声が出ないようだった。何となく浮世絵の写楽を連想させた。2つの女性の魂が、一つの肉体を占領しようと争っていたのである。どちらの魂も私に「何とかしてくれ」と訴え、そばに寄って来たのである。しかし、私はそれどころではなく、強い眠気が襲って来たために、バッグを枕にして眠ってしまった。その女性は、「はい、こっちに行きますよ」と付き添いの女性に引かれて何処かへ行ってしまった。私の眠気が取れた頃には、周囲にその女性はいなかった。