タイムスリップ

私の魂は、敗戦当時に戻っていた。
そこは、古い神社だった。そこに多くの人たちが集まり、君が代を静かに歌っていた。帰還兵たちは口にタバコを銜え、戦争の残酷さを薄笑いをしながら愚痴っていた。だが、そこには正座をしたもの胡坐をかいたものがいるものの、列を乱したり秩序を壊したりするものは誰もいなかった。
その風景は、黄色く染まった古い写真を見ている感じだった。私自身がどういう服装なのかは分からなかったが、日本人が敗戦の弱い意識と未来を失った自信のなさの中にいたという環境下に置かれていたようだった。
外に出てみると、着物姿の若い女性が梅毒に侵され、道路わきに掘られた穴の中に自ら入り、そして埋められていた。
その後、その家族が、娘を探しにやって来て、切なそうに花束を置いて、当て所なく帰っていった。これが、終戦なのかと、つくづく人間の哀れさを味わい、目に涙を浮かべながら、目が覚めた。
私の浄霊を受ける戦没者は非常に少ない。そう言った意味で本当の戦後は終わっていないのかもしれない。このような過去を背負っている人たちも現在は少なくなって、戦争を全く知らない人たちが増え、再び戦争を巻き起こす事態が生じる恐れがある。
何が起きようとも、次の新しい時代を迎えるために、私自身は戦後のリセットを浄霊という形で行わなければならないとつくづく思った年の瀬となった。